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遠藤京子のマクロビオティックな鍼灸治療

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2011年 02月 04日

きれいな石

もう名前も忘れてしまったけれど……。

 片付けものをしていたら、中学生の時にある人からいただいた石のかけらが出てきました。
 その人の名前はもう忘れてしまったのだけれども、あまりにも時代を感じさせるエピソードなので、記しておこうと思う。
きれいな石_a0157309_15491637.jpg

 私が中学生の時、「東京オリンピック」があった。1964年のことです。当時、父の仕事の関係でモンゴルの医師と交流がり、その医師がモンゴル選手団の専属医師として、来日しました。
 そこで私たち家族は、モンゴル選手団を、浅草などに案内し、天ぷらやすき焼きをごちそうしたのです。そうして私は、彼らから、代々木の選手村に自由に入れる通行証のようなものをもらい、毎日のように遊びに行きました。

 なんせ1ドル360円の時代ですから、海外へ行くというのは、よほどのお金持ち。新婚旅行が熱海の時代です。それが、選手村は居ながらにして世界中の、それもアスリートたちが一同に滞在している場所ですから、それは、それは面白くて、出会う人、出会う人に、「Hello!」なんて声をかけて、サインをもらったり、それぞれの国のバッチをもらったりしました。

 その時、語学学校を卒業して、すでに海外のホテルへの就職が決まっていて、アルバイトとして、選手村での通訳をやっていた日本人と知り合いました。
 本名は忘れてしまいましたが、通称「ツウ」と名乗っていました。
 
 オリンピックも終わり、ツウさんは、アメリカだったか、ハワイだったかのホテルへと旅立ちました。程なく彼から手紙が来て、しばらくの間、文通をしていました。
 この石のかけらは、その手紙と一緒に送られてきたものです。
 「泳ぎに行ったらあまりにきれいな石があったので、送ります。ほんとうは、この30倍くらいの大きさだけれども、ハンマーで割っておくりました。机の上にでも飾ってください」というようなことが書いてありました。

 今では、珍しくも何ともないことだけれども、彼から送られてくる手紙には、外国の匂いがあって、小さな石のかけらから、たとえば当時テレビで放映されていた「ハワイアン・アイ」などで見ていた風景に思いを馳せていました。

by HomeMacro | 2011-02-04 15:57 | ロンドンー東京 歳時記


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